思考の雑記帳

たまになんか書きます。多分。

「良い子ちゃん効果」

      こんな記事があった。

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      この中で「良い子ちゃん効果」という言葉が使われているので紹介したい。安易な“実験結果”に騙されないためには大事な発想である。

「良い子ちゃん効果」

     あるグループに対し「1日の食事の中で1回は「牛丼の具」を加える」という実験を行ったとする。このとき被験者は「(食事に関する)実験に参加している」ということを意識してしまい、つい普段よりもバランスの良い食事にしてしまうかもしれない。つまり、ついつい「良い子ちゃん」なってしまう。このことを「良い子ちゃん効果」という。もしこうなれば「牛丼の具」が実際にどの程度、被験者に影響を及ぼしたのかが分からなくなってしまう(食事のバランスが少し良くなったことの影響が混ざってしまう)。
     これは一般には「観察者効果」と呼ばれる。「良い子ちゃん効果」というのは、検索してもヒットしないので冒頭の記事を書いた松永氏の造語だろう。しかしとても良いネーミングセンスだと思う。
     ちなみに「良い子ちゃん効果」を考慮するならば、「牛丼の具」を食べる前後も調査して比較する、あるいは「牛丼の具」を食べない対照群を用意して比較するなどの対照実験が必要となるだろう。

「観察者バイアス」

     ところで、観察される側に「良い子ちゃん効果」の可能性があるように、観察する側にもついつい「ひいき」が出てしまう可能性がある。例えばある精神薬の効果について「偽薬を与えたグループ」と「実験薬を与えたグループ」とで比較するとする(もちろん被験者自身は偽薬かどうかは知らない)。そして実験者はどちらに実験薬を与えたか知っているとする。このとき、問診などで被験者が同じような受け答えをしたとしても、「この人は本物の薬を飲んだ方だし効果がみられるな」「この人は偽薬を使っているしおそらく一時的な変化の範囲(誤差)かな」という判断が無意識のうちになされるかもしれない。
     実際、医薬品の実験などでは被験者も観察者も実験薬を与えたグループがどちらか、実験が終了するまで分らないようにしている(これを「二重盲検法」という)。
 
 
     観察者バイアスの方はともかく、「良い子ちゃん効果」の方は、実験の測定プロセスそのものが仮に信頼できたとしても、実際に着目するモノの影響・効果については適切な解釈が得られないということがある。巷にあふれる「実験」に騙されないためにも重要な発想であろう。