『ピアニストの脳を科学する』のまとめ(読書ノート)(1)
古屋晋一 (2012) 『ピアニストの脳を科学する:超絶技巧のメカニズム』 (春秋社) のトピックを個人的な備忘録として簡単にまとめた。また個人的に面白そうと思った箇所は太字にした。
とりあえず第1章までで、第2章以降は気が向いたら書くことにする。
内容の吟味などはしていない。また簡素な表現にするなどしているので、正確な内容や詳しい内容などは本書および本書に記載されている参考文献を参照されたい。
第1章 超絶技巧を可能にする脳
- 同じ速さで同じ指の動きをしていても、活動している(脳の運動野の)神経細胞の数は、非音楽家よりもピアニストの方が少ない (p.7)
- 身体の運動をつかさどる特定の神経細胞を刺激したとき、ピアニストでは(ピアノを弾くときにより近い)複雑な動きがおこった (p.10)
- ピアニストは非音楽家よりも、小脳の細胞が50億個近く多い (p.12)
- 11歳までに行う練習は、12歳以降よりも、脳の白質を発達させやすい、(白質の発達は運動能力や認知機能に影響を及ぼす)(p.17-18)
- 大人になっても脳の神経細胞は増える (p.19)
- ヴァイオリニストの右手(弓を動かす方の手)は、プロとアマで、対応する部分の脳活動、脳の体積に差はみられない。一方、左手(弦を押さえる方)では差があり、プロの方がどちらも大きい (p.20-21)
- 5日間、毎日2時間、(A) 実際にピアノを弾いて練習するグループ、(B) 実際にピアノを弾いている指の動きを思い浮かべる(イメトレ)だけをするグループ、(C) 特に何もしないグループ、に分ける。
5日間後、(B) のイメトレグループに更に2時間、実際にピアノを弾いて練習してもらった。結果、指を動きをつかさどる脳部位の神経細胞の働きについて、(B) は (A) とほぼ同程度まで向上した。(p.22-25) - 左右の同じ指を同時に動かす(右手の親指と左手の親指→右手の人差し指と左手の人差し指...)課題と、左右の異なる指を同時に動かす(右手の親指と左手の小指→右手の人差し指と左手の薬指...)課題とで、一般的には異なる指を動かす方が難しいが、ピアニストは脳活動的にどちらも苦としなかった。(p.29-30)
- 7歳よりも前に専門的な音楽訓練を受け始めたピアニストの方が、非音楽家よりも、脳梁の体積が大きい。
また、幼少期の練習時間の長さに比例して、脳梁の体積が大きくなる(p.31)。